ほしひじきの食品成分表改訂

2015年12月、文部科学省が公表するほしひじきの食品成分表が、改訂されたという報道がありました。

下記は産経新聞の記事より引用。

鉄分が多い食品として親しまれているヒジキ。加工の過程でステンレス製釜が使われた干しヒジキの鉄分含有量が、鉄釜の場合と比較して9分の1と少ないことが、昨年12月に公表された文部科学省の「日本食品標準成分表(食品成分表)」で判明した。ヒジキの業界団体は「鉄分含有量の違いは、釜の材質の違いによるものではない」と反発するが、学校では給食の献立の見直しを検討するなど波紋が広がっている。

ヒジキの鉄分は鉄釜とステンレス釜でなんと10倍の差!? 給食は献立見直し、業界は猛反発するが…

記事によると文部科学省の改訂理由は、ほしひじきの鉄分が製造過程で 鉄鍋を使うのか、 ステンレス鍋を使うのかで、鉄分の含有量が約9分の1に減ってしまうことがわかったため。

しかし、日本ひじき協議会は、これについて反発しており、鉄分は鍋によって変わるのではなく、産地によって変わると独自調査を発表している。

文科省の食品成分表改訂版

食品成分表
引用: 食品成分データベース

文部科学省の公表する食品成分データベースによると、産経新聞の記事の通り、ステンレスと鉄鍋で鉄分に大きな差がある。

日本ひじき協議会の見解

下記は日本ひじき協議会がHPに載せた見解です。

文部科学省は12月25日付で「日本食品標準成分表2015年版 (七訂)」掲載「ひじき」の可食部100g当り鉄含有量に関し、「鉄釜だと58・2mgの鉄を含むが、ステンレス釜だと6・2mg」と発表しました。

当協議会が現在までに確認している検査結果によりますと、日本産ひじき(52検体)は文部科学省発表の 6.2mgに近い数値である7.7mgの鉄含有量であります。

同様に検査した韓国産ひじき(14検体)は47.6mg、中国産ひじき(12検体)は47.7mgと従来(六訂まで)の日本標準食品成分表に記載されていた55mgに近い数値を確認しております。

これらひじきの加工に使用している釜はすべてステンレス製です。

ステンレスは耐食性に優れ、食品加工においては「食の安全・安心」の観点から、異物混入の原因除去のため海外加工会社を含めステンレス釜の使用を推進してまいりました。

また、国内流通している乾燥ひじきは(一部産地を除く)、日本標準食品成分表にある「煮熟後乾燥」したものではなく「蒸煮後乾燥」したもので、蒸煮の際の釜の材質による鉄含有量の違いはないと推測しております。

本発表を踏まえ、当協議会では各産地(日本産、韓国産、中国産)別鉄含有量の業界標準成分数値設定のための研究を進めてまいります。

また各産地別鉄含有量の差異につきましてもその原因を合わせて研究してまいります。

ひじきの鉄について


産経の報道は2016年1月28日ですが、2019年6月現在でも日本ひじき協議会は、産地によって含有量が変わるというの見解を変えていないようです。

日本ひじき協議会の発表を見ると、国内産のひじきが鉄分7.7㎎と中国産・韓国産と大きな差があることがわかります。

産地別の「ひじき」のシェア

日本ひじき協議会は、産地によって、鉄分の含有量が違うとの見解でしたが、国内で流通する、ひじきの産地別のシェアはどれくらいなのでしょうか?

協議会が発表している資料から見てみましょう。

ひじき
引用:http://www.hijiki.org/html/content/food-system.pdf


この産地別構成比では、国内の50%のひじきが中国産。

37%が韓国産、13%が国内産(長崎3%、三重2%、その他8%)。

日本ひじき協議会の、ひじきの鉄分含有量が正しければ、国内に流通する87%のひじきの鉄分は、47.6~47.7㎎となります。

ひじきに使う鍋とシェア

文部科学省の主張は、ステンレスと鉄鍋による違い。

では、ひじきに使用している鍋(釜)の割合を見てみましょう。

下記は、日本ひじき協議会HP「ヒジキの鉄と国内市場の実態について」から引用したものです。

ひじきの釜素材
引用:http://www.hijiki.org/html/content/food-system.pdf


これによると、国内産の4%が鉄鍋、9%がステンレス鍋です。

協議会側の主張が正しければ、中国産・韓国産・国内産鉄鍋使用で91%のひじきが高い鉄分含有量があることになります。


ただし、 文部科学省の食品成分データベースには産地の記載がなく、産経報道のまま、変更はありません。協議会側の主張が間違っている可能性もあり、これが正しいかわからない状況にあります。

ひじきの鉄分多い?少ない?

日本ひじき協議会の見解について調べてきましたが、ここでは文部科学省が、公表した食品成分表改訂後の「ひじきの鉄分は多いのか、少ないのか?」についてお伝えしていきます。

文部科学省の食品成分表ではステンレス製鍋を使用した、ほしひじきの鉄分量は100gあたり6.2㎎です。

比較対象として、国立がん研究センター の「 貧血がある方のお食事-鉄の豊富な食品と吸収率」という資料と比較して見たいと思います。

貧血がある方のお食事 – 国立がん研究センター


この資料では、1回使用量あたりの鉄含有量で比較されています。

ひじきは1回でどれくらい食べるでしょうか?

とりあえず、切干大根10gとおから30gを基準に見てみましょう。

文部科学省基準のひじき成分だと、10gで鉄分は0.62mg、30gで1.86gとなります。

量的な面で見れば、おからやほうれん草より、効率よく摂取できるといえるようです。

文部科学省基準のひじきの評価

ここまで比較してきた文部科学省基準のひじきの結果。

食品成分表改訂前ほど、豊富ではなくなったが、ひじきは鉄分含有量が豊富な食材の下位に入るような食材。

まとめ

「ひじき」には、文部科学省の鍋を元にした基準と、日本ひじき協議会の産地を元にした基準の2つがあることがわかりました。

日本ひじき協議会の基準では中国産・韓国産・国内産鉄鍋使用の91%は成分改訂前と近いぐらいの高い鉄分含有量の数値を出しています。

国内産鉄鍋使用したい場合、ひじきは全体の4%しかなく、その他には海外産のひじきを使用する必要があります。

ただ、鉄分含有量が少なくなった文部科学省基準の、100g中の鉄分量6.2gでも、下位ではありますが、鉄分の豊富な食材に入るようです。

日本ひじき協議会の基準 については、文部科学省の見解を見つけられませんでした。そのため私の見解としては、鉄分を摂取するために、必ずしもひじきを選ぶ必要はないが、鉄分も一定程度含まれているため上手に活用するのが良いと思います。

引用・参照

・「ヒジキの鉄分は鉄釜とステンレス釜でなんと10倍の差!? 給食は献立見直し、業界は猛反発するが…」 産経2016.1.28 08:00
https://www.sankei.com/premium/news/160128/prm1601280002-n1.html

・食品成分データベース-文部科学省 20190603
https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=13387

・「ひじきと健康-鉄について」日本ひじき協議会
http://www.hijiki.org/html/content15.htm

日本食品標準成分表2015年版(七訂)第3章資料.1食品群別留意点http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365449.htm

貧血がある方のお食事 – 国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/info/seminar/recipe202.pdf